我が家の食卓に水なすの浅漬けが並ぶと、「あぁ、今年もこの季節がやってきたな」と夏の訪れを感じます。

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泉州の夏の野菜を代表する水なすは、ポテッと丸く可愛らしい見た目で、その名の通り水分をたっぷり含んでいます。

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なすは本来、灰汁が強く生食には向かない野菜ですが、水なすは灰汁が少なく、皮も薄いので口に残らず、ほのかな甘みがあるので生食ができます。生で食べられるなすは全国的に珍しいそうです。

水なすの浅漬けも有名ですが、水なすの代表的な食べ方として、「じゃこごうこ」があります。

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じゃこごうこも浅漬けと同じくよく食べますが、作り方を知らなかったので叔母に教えてもらうことにしました。

材料は水なすの古漬けと海老じゃこ。

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調理方法は各家庭によって違いますが、我が家は塩抜きした古漬けを切ったものと海老じゃこ、刻んだ土しょうがをしょうゆとみりんで炊きます。次の日にもう一度炊くと味がよくしみこむそうです。

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シンプルな調理法ですが、水なすは前日から水に浸して塩抜きをしたり、小さな海老じゃこの頭と尾を取ったりと手間をかけて作られているのだと知りました。

祖父曰く、昔は食料が不足することが多く、たくさん実った水なすを腐らせてしまうのはもったいないので糠床につけて保存し、古漬けを食べたり、比較的安価で買える海老じゃこと一緒に炊いてじゃこごうこにしたそうです。

泉州の人々に愛される水なすは、郷土に暮らす人々の歴史や文化、食生活とともに受け継がれてきました。現在は糠床を持たない家庭が増え、食べる機会が減ってしまい、じゃこごうこを知らない世代も増えてきているそうです。

自分の地域の郷土料理を残していくために祖父や叔母に教わったことを大切にし、次の世代に引き継いでいきたいと思います。             

 (文と写真 Y・M)

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